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2011年10月2日日曜日

ハンガリー狂詩曲第2番

ハンガリー狂詩曲 第2番(1847)(1851年出版)

ハンガリー狂詩曲は、全19曲からなる作品集で、
最初の15曲は、1851~53年にかけて出版された。
最後の4曲は、晩年1882~85年に作られたもの。

リストは、愛国心の強かった作曲家の一人。
祖国に対する愛情からハンガリーの民族的旋律や
リズムを生かした様々な曲を書いています。
(ただし、リストがハンガリー古来の民謡だと思って取り入れていたものは、
実は違っていたという説もある)

幼少のころ、ハンガリーの田舎で生活し、
その後、リストの才能を伸ばすために一家をあげて11歳でウィーンへ、
その後、パリへと移住。
世界的な大ピアニストとなったリストでしたが、
祖国への想いが消えることはありませんでした。
実際、彼が再び故郷を訪れたのは、1839年。
以前、ドナウ川の大洪水でハンガリーがひどい災害を受けた時、
音楽会を開催し、多額の救済金を祖国に送っています。

このとき、リストは国を挙げての歓迎を受け、
非常な感激をおぼえ、翌年から”ハンガリーの民族的旋律集“と題する曲集を出版し、
これがのちに”ハンガリー狂詩曲”にまで発展していったのです。

第2番はこの作品集の中でももっとも有名で、
皆さん、トムとジェリーでもお馴染みではないでしょうか?

高校生の時、数曲弾いたハンガリー狂詩曲のうちの一つ。
この曲を弾くと、当時を思い出し、どうしても日本のことが想われます。
リストが祖国の災害に悲痛な想いでいたように、現在、私たちも同様です。
音楽が、少しでも多くの人々を
元気づけることができれば・・・という気持ちでいっぱいです。

江藤早織

トリスタンとイゾルデより「愛の死」、リゴレット・パラフレーズ

今回選んだ、2曲の演奏会用パラフレーズはどちらも、
大変有名なオペラ作品を
下敷きにして作られた作品です。
今日このブログでは、リスト本人のことは少し横において、
これらの元になった作品、作曲家
について何か書いてみたいと思います。


ジュゼッペ・ヴェルディ、リヒャルト・ワーグナー。
オペラ史において巨人のような存在、今もオペラ座で演奏され続ける
主要なレパートリーになる偉大な作品群を遺した二人の作曲家。
しかし、あまりにもイメージが違いすぎてこの二人が
まったく同じ誕生年に生まれているとは、ちょっと想像がつきません。
(1813年生まれ。リストのふたつ年下ですね。)

二人が、同席することは一生のうちで一度もなかったらしいのですが、
ヴェルディは、晩年ワーグナーを意識し、
オーケストレーションなどをあえて勉強もし、
自分の作品に反映したとされています。

ワーグナーとリストは、いうまでもなく、
リストの娘コジマが後年奥さんになるぐらいの(?)濃ゆ~い交友関係がありました。
ちなみに、リストが心筋梗塞で亡くなる直前にバイロイト音楽祭で観ていたのが
(当時からあったんですね。。)ワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」だったそうです。
でも、オペラを観た直後に亡くなるとは、大作曲家らしい死に方だなあ、と思ってしまいます。

この「トリスタンとイゾルデ」の中から、第3幕3場のイゾルデのアリア
愛の死」をテーマに作られたのが、今回演奏するリストの編曲篇です。
「トリスタンとイゾルデ」についてワーグナーは
「あらゆる夢の中で最も麗しい夢への記念碑」と語っています。
フリードリヒ・ニーチェ曰く、
「私は今日でも尚『トリスタン』と同じくらい危険な魅力を持ち、
同じくらい戦慄的で甘美な無限性を具えた作品を探しているのだが、依然として見つからない。
――芸術の全領域を探しても見つからないと思っている。
レオナルド・ダ・ヴィンチの示すあらゆる異様な魅力も、
『トリスタン』の最初の一音で魔力を失ってしまうであろう。
この作品こそ、断じてヴァーグナーの最高の絶品である。」
危険で、戦慄的で、しかも甘美、、、。
なんだかぞくぞくっとして来て、観てみたい気がしてきませんか。

リゴレットは、ヴェルディのオペラでは醍醐味のひとつとなる、
登場人物の心理描写がとても面白いオペラです。
元々ヴェルディが「呪い」というオペラの名前を考えていて、
台本作家のピアーヴェに反対して止められ、
道化役者の主人公「リゴレット」の名になったらしいのですが、
正に「呪い」としか言いようのない、これでもかというような、
神も仏もない、だからこそのザ・オペラなミゼラーブルなお話です。
劇中のアリアとしては、ピザのCMにまでも(!)出てきて、
もはや、歌謡曲のようにポピュラーな「女心の歌」が最も有名で、
踏んだりけったりの運命、世にも気の毒な女性、
ジルダの「慕わしき人の名は」もコロのアリアとして、耳に馴染みのある曲です。
リストが編曲したパラフレーズでは「美しい恋の乙女よ」                      

第三幕の四重唱のテーマを主題に作られています。
みなさんのオペラ体験のきっかけになるような、
どきどきわくわくのオペラの世界のエキスが、
少しでも表現できますように
楽しくスリリングに演奏できたらと思います。

注:赤いリンクの文字をクリックすると、
元のオペラのテーマの映像を観る事ができます。

梅谷初

ピアノソナタ ロ短調

リストは、多数のピアノ曲を残しましたが、
「ソナタ」と名がつくものは、唯一このロ短調ソナタです。
リストの最も実り多い時期に作曲され、彼の最高傑作であると同時に、
現在ではロマン派を代表する重要なピアノ曲のひとつとなっています。

しかし、この曲が初演された当時は、「賛成」「反対」の意見が真っ二つに
分かれ、歴史上もっとも大きな論争になり、それは長い間続いたといわれます。
ソナタといえど、その形式よりはずっと自由で、革新的な曲だったからです。
ワーグナーは賛成派 、そしてこの曲が贈られたR.シューマンの妻
クララ・シューマンやブラームス、は皮肉にも反対派でした。
献呈されたロベルト・シューマンは、その時すでに、病んでいたということです。

もし・・・私がその当時生きていて、まだ近・現代音楽や他のジャンルの音楽を知らない私が
はじめてこの曲を聴いたなら・・・どう感じただろうか。賛・否のどちらに属するのだろうか?
・・・と、つい、そんなことを想像してしまいます。
どちらにしても、この曲の威厳にあふれる力強さに圧倒され、美しい世界に引き込まれてしまう
ことは間違いないでしょう。

数少ないモチーフが、約30分連続して演奏されるこの曲の至る所に、
天使のように、そして、時折悪魔のように姿を変えながら現れ、
統一感をなしているのが特徴です。
まるで、一人の人間にも美と悪が共存しているんだ、と言っているかのように・・・。

暗い影、祈るような一筋の光、また内面から情熱が迸り、燃え尽きるドラマチックな曲であり、
私たちを別世界へ引き込んで行ってくれます。
大作であると同時に、技巧的にも大変難しい曲。
自分なりにリストをどこまで追求できるかが課題です。

是非、みなさんも一緒にリストの世界を体験してみてください。

ヴァラーシュタイン西原典恵