2012年9月28日金曜日

演奏によせてのご挨拶、解説(前奏曲集二巻、交響曲ロ短調)

今年8月22日に、生誕150周年を迎えたドビュッシー。
(劇作家のメーテルリンク、画家のクリムト、
日本の森鴎外や新渡戸稲造も同い年なんですね。)

当時のフランスは、パリ改造計画でも有名なナポレオン三世の時代。
皇帝に即位して以来、クリミア戦争、アロー戦争に続いて、ベトナムを侵略。
イタリア統一戦争にも参加し、今度はメキシコ戦争を始めていました。
ドビュッシーの生まれた1862年には、後に普仏戦争を挑発してきた
ビスマルクがプロイセンの宰相となり、南北戦争中のアメリカでは、
リンカーン大統領が奴隷解放宣言をしています。
(日本では、尊皇攘夷運動が高まっている中、薩長戦争のもとになった生麦事件が起こる一方、
江戸幕府は福沢諭吉を含む文化遣欧使節団を派遣していました…)

今回は、そんな時代に生まれたドビュッシーの作品から2作品を演奏します。
パリ音楽院時代のドビュッシーが、ロシアの大富豪メック夫人一家の欧州旅行にピアニストとして
同行した際に構想を練ったとされる
「交響曲ロ短調 (連弾/今日出版されているのは、第3楽章アレグロのみ)。
そして、 50歳前後に書かれた"前奏曲 第2集" (より抜粋) 。

様々な可能性を秘めた18歳の頃の作品から、独自の音楽を追求し続けた後期の作品まで、
ドビュッシーの人生にも思いを馳せつつ、お楽しみいただければ、幸いです。

藤枝有紀子

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