2017年1月29日日曜日

ルードヴィッヒ・ヴァン・ベートーヴェン    ピアノソナタ第14番嬰ハ短調作品27-2  「幻想曲風ソナタ」(解説 滝村乃絵子) 

今回演奏するベートーヴェンのピアノソナタ第14番は、
1801年に作曲され「月光ソナタ」という通称でも親しまれています。
ピアノを弾いたことがある人や音楽が好きな人なら
必ず一度は憧れる曲かもしれません。
私の父も私が子供の頃に、月光ぐらい弾けるようになったら発表会に行ってもいい、
と名曲の代名詞の様に使っていました。

この曲はちょうどベートーヴェンの耳が聞こえなくなりはじめた頃の
作品とされています。
ピアノソナタ第8番(悲愴)、第23番(熱情)と共に「3大ピアノソナタ」としても有名です。

ベートーヴェン自身は「幻想曲風ソナタ」と書いており、
「月光」の呼び名はドイツの詩人ルードヴィヒ・レルシュターブによるものです。
レルシュターブは14番を
「スイスのルツェルン湖の月光の波に揺らぐ小舟のよう」と表現しました。
とても美しく印象的な旋律で、
ベートーヴェンのピアノソナタの中でも屈指の人気を誇っています。

「月光」はベートーヴェンが31歳の時に作曲され、
14歳年下の恋人だった伯爵令嬢ジュリエッタ・グイチャルディに捧げられました。
またベートーヴェンはジュリエッタにピアノも教えており、
師弟関係でもありました。
ジュリエッタは身分が高く、
ベートーヴェンは身分の壁に苦悩したと言われています。
二人の仲は、周りも公認の仲だったそうです。
可哀想なことにベートーヴェンが「月光」をジュリエッタに贈った後に、
ジュリエッタは貴族と結婚してしまいます。
ただ身分の違いから二人の未来は明るくないことは、
ベートーヴェンは初めから予期していたそうです。
ベートーヴェンのこのような恋愛感情を知識に入れておいて曲を聴いてみると、
また違った印象を感じられるかもしれません。

この時期はベートーヴェンが新たな作曲法を模索していた時期でもあります
「月光」においても、即興的な要素が加わっていたり、
ペダルの使用が初めて細かく指定されたりしています。
音楽的には伝統的な古典派ソナタを一歩抜け出して、
ロマン派の音楽に近づいてきています。

このように色々な時代的背景やベートーヴェン自身の個人的感情が入り混じった曲を
私なりに思いを音に託して練習しました。どうぞお楽しみ下さい。



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