2019年1月27日日曜日

セルゲイ・ラフマニノフ 前奏曲 作品23、作品32より (解説 梅谷初)

セルゲイ・ラフマニノフ (1873-1943)

10の前奏曲 作品23
Nr.1 嬰ヘ短調 (Largo)
Nr.2 変ロ長調 (Maestoso)
Nr.4 ニ長調 (Andante cantabile)
Nr.5. ト短調 (Alla marcia)
Nr.6 変長調(Andante)

Aus 13 Preludes Opus 32
Nr.12 嬰ト短調 (Allegro)

1895年に作曲され、2年後に初演された交響曲1番の大失敗は、のちに、ラフマニノフが長いこと、それによって、立ち直れなくなるぐらいの打撃を与え、精神的な挫折を味わうことになりました。

それは、この失敗によって、自信喪失、神経衰弱に陥ったラフマニノフが、ほとんど作曲できないぐらいの挫折でした。ヒプノセラピーなどの治療なども受け、長い挫折から立ち直り、再び創作意欲を取り戻したラフマニノフが、最初に作曲した作品が、1900年からよく年にかけて、二台のピアノのための組曲と、ピアノ協奏曲第2番。この時作曲された、ピアノ協奏曲第2番で、ラフマニノフは、興行的に成功し、作曲家としても名声を獲得することになります。1902年には結婚もし、仕事の上でも、プライベートでも、人生は充実を極めます。作品23の前奏曲10曲が作曲されたのは、1903年。そして、作品32の前奏曲、13曲が作曲されたのは、1910年。

そんな、ラフマニノフにとって、人生が今まさに満開と言った素晴らしい時期、30歳の年と、37歳の年に作られたこれらの前奏曲たは、今でもラフマニノフの代表作の1つです。ちなみに、1909年には、ラフマニノフの協奏曲のもう1つの傑作、3番の協奏曲も作曲されており、作曲家としては、筆が乗りに乗っていた時期と重なるわけです。

これらの前奏曲と、1892年に発表された、作品-2の前奏曲、嬰ハ短調を併せて、全部で24の前奏曲となります。この中から、今回は、6曲を選んで演奏します。作曲家として、満を持したラフマニノフがその魅力の限りを尽くした、珠玉の曲集です。ピアニストとして、一生演奏していきたいレパートリーと言えるのではないでしょうか。テクニック的な難しさなどを超えて、その魅力の全てを隅々まで表現して皆様と共有して楽しむことができたら、と願います。


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