2011年2月16日水曜日

夜のガスパール

今回、ラヴェル作曲、
夜のガスパールを演奏する江藤早織です。

ラヴェルは、ドビュッシーと共に
フランス印象派を代表する作曲家。

ラヴェルといえば、
管弦楽曲“ボレロ”や
ムソルグスキーの“展覧会の絵“の
オーケストレーションで
よく知られていますね~。
自分で曲を作曲するだけでなく、
他人の曲をオーケストラバージョンに
編曲するのが得意な人でもありました。

ラヴェル自身、
技巧派のピアニストでもあり、
当時、最難曲と言われていた
バラキレフ作曲の“イスラメイ”に対抗し、
もっと難しい曲を作ると誓言して
作曲されたのが、この“夜のガスパール”。

フランスの詩人、ベルトランの散文詩から
3つの詩をモチーフに(オンディーヌ、絞首台、スカルボ)
書かれた夢幻性にあふれ、
夜の怪奇な雰囲気を見事に表現した曲です。

(超短縮版でプログラムに詩を記載しています。)

“ガスパール“とは、悪魔のこと。

第1曲、オンディーヌ(水の精)。

ラヴェルは、水を音楽で表現するのが得意であった。
さざ波を表す32分音符に、
何とも言えぬ美しいゆったりとしたオンディーヌの旋律。

時にはゆったり、時には激しく。

第2曲、絞首台。

終始一貫してなり続ける変ロの音。

絞首台にぶら下がった死体が
夕日に赤々と浴びせられている。
夜風、罪人の溜息、町に響く鐘の音・・
なんとも薄気味悪い曲。

第3曲目、スカルボ。

不気味な悪霊が
一本足できりきりと飛び回る様が、
激しいリズムの刻みで想像される。
この“スカルボ“は、
まさにピアニスト泣かせの超絶技巧曲で、
この曲を弾きこなすのは至難の業。

この不気味で奇妙な“夜のガスパール“ですが、
内容的にも技術的にも、かなり深い曲です。
どこまで、奇妙さを表現できるか・・・
ピアニストとして、
一生の課題となるレパートリーの1曲です。

0 件のコメント:

コメントを投稿