2011年10月2日日曜日

『巡礼の年 第2年 イタリア』より               ソナタ風幻想曲『ダンテを読んで』

リスト生誕200年記念!と銘打った今回の企画。
この機会に、これまでの『リスト氏との関わり』について、
思い出してみることにしました。

初めての出会いは、小学校の音楽室に飾られた肖像画。
居並ぶ作曲家諸氏の中で
『スッキリとした顔立ち、細身の身体、ワンレングス』というお姿に、
少し違和感を覚えたような…。
その後『偉大なピアニストでもあり、
普通の人では弾けないような難曲をたくさん書いた作曲家』
という情報を入手して、
子ども心に『自分とは関係ない超人』と位置づけておりました。

中学生のころ、ピアノの発表会でリストの曲を聴いたときも
『確かに難しそう…。自分にはまだまだ!』と思っていましたので、
初めて自分で演奏したのは、高校入学後。

購入したエチュード集の楽譜には、
これまでに見たことのないような真っ黒なページもあって、大ショック。

それ以降、いくつかリストの作品を演奏しましたが、
毎回『何だか必死?!』というイメージがつきまとい、
残念ながら、いまひとつ充実感が湧かず…。

さらに、ピアニスト・指揮者・作曲家・教育者・著述家としての
幅広い活動と偉大な業績、数々の女性関係のエピソードなどを知るにつけ、
ますますリスト氏の人となりを想像するのが難しくなり…。

そんな中で、私にも親しみが持てそうだったのは
『地獄や悪魔を題材にした物語』が好きそうなところ?!

今回、演奏する『ダンテを読んで』は、
リストが6歳年上の伯爵夫人とのイタリア滞在中、
かの地で感銘を受けた芸術作品や文学作品の印象をまとめた
『巡礼の年 第2年 イタリア』の第7曲。

リストが繰り返し読んだダンテの
『神曲』から霊感を得て書き上げた、壮大な幻想曲です。

『地獄・練獄・天国』とダンテ自身が巡っていく物語を象徴するように、
同じ音型が、果てしなく続く苦しみや、
光に包まれて救済されていくイメージを伴って、
何度も繰り返され、曲集の最後を飾るにふさわしい輝かしいフィナーレを迎えます。

今回の演奏と200歳のお誕生日を機に、
多少なりともリスト氏とお近づきになれると嬉しいのですが?!

藤枝有紀子

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