2013年6月11日火曜日

コレルリの主題による変奏曲

今回の「Pianosoli」で取りあげるラフマニノフ。
私にとっては、なかなか近寄りがたい作曲家の一人です。

子供の頃は「美しいけど、演奏するのが難しそうなピアノ曲を作る作曲家。
おまけに、名前まで難しい !!」という先入観に凝り固まっており…。

その後、大学生の頃だったか、偶然目にした
テレビドラマから受けたショックが尾を引いて、
さらに疎遠な感じになってしまいました。

詳細は忘れてしまいましたが、確かシリアスな内容の企業ドラマ ?!
冒頭は真夏のお葬式のシーン。喪服に身を包み、じっとり汗をかいた、深刻な表情の登場人物たち。
し~んとした雰囲気と、騒々しいセミの声の向こうから流れてきたのは、
何とラフマニノフのピアノ協奏曲第3番の冒頭部分。
自分がそれまで思い描いていた曲のイメージとのギャップに呆然としてしまいました。

今でも、あまりにも有名な冒頭の二短調のメロディーを耳にすると
漏れなくセミの声のイメージがついてきてしまいます… 。

さて、こんな私が今回演奏するのは「コレルリの主題による変奏曲」。
ラフマニノフの共演者にして親友だったとも伝えられるヴァイオリニスト、
クライスラーに捧げられた作品です。

この曲では 、コレルリのヴァイオリン・ソナタ中の
「ラ フォリア」の主題が採用されています。

もともと「フォリア」とは イベリア半島の古い舞曲で、
古今の多くの作曲家が作品中に採り入れていること、
中でもコレルリの曲が特に有名であることは、ラフマニノフ自身 、
初演後の批評で初めて知った、というエピソードを読んで、(勝手に)
少し親近感が湧き、(これまた勝手に) 嬉しくなりました。

他のメンバーの演奏する豪華絢爛な作品にくらべて、
かなりシンプルなラフマニノフの最後のピアノ独奏曲。
しみじみと味わっていただければ、幸いです。

藤枝有紀子

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