2015年2月19日木曜日

ジョージ・ガーシュイン作曲 「ラプソディー・イン・ブルー」ほか 演奏者 梅谷初

今回の演奏会のテーマである「世界のピアノ音楽」が決まった時、
真っ先に閃いて演奏したいと思った曲が、
ヴィラ・ロボスの、Cicro Brajileiroの中から、
今回演奏する二曲でした。
私ごとですが、今回演奏する三曲は、
どれも、日本の大学時代の恩師の
故松谷翠氏と深く関わっている
思い出の曲たちです。

今年で早くも、ドイツへ留学に渡ってから住みついて
かれこれ丸20年を数える年に
なりました!
このキリの良い、記念すべき年に、
なぜか、恩師に深い関わりのある
この三曲を演奏する縁になったことは
単なる偶然ではない気がしています。

恩師である、今は亡き松谷翠氏に大学時代に
出会い、強烈にインスパイアされたことが
それまで、あまりはっきりした進路の意思がなかった
わたしにとって、音楽の道を目指すひとつの
大きなきっかけになりました。

ピアニスト、松谷翠は、
現代音楽とクラシック、
ジャズの境界線を自由に行き来していた
型にはまらないユニークで、才気溢れる
演奏家でした。
「ラプソディーインブルー」
をメインプログラムにした
CDが、師の演奏に触れた初めての体験で、
在学中に癌で急逝した師の、お葬式に流れていた
録音で最後に聴いた師の演奏が、
ヴィラ・ロボスの「セレナード弾きの印象」だったのです。。

ここで、少し楽曲について触れてみます。

エイトル・ヴィラ・ロボスは、1958年、ブラジルのリオデジャネイロ
生まれの作曲家です。
独学で作曲を学び、
クラシックの作曲法に、ブラジルの民族的な
音楽を取り込み、独自のスタイルを
確立しました。
ブラジルのみならず、南米を代表する作曲家と
言っても良いでしょう。

さて、本日演奏するのは
そのヴィラロボス作曲の、Cicro Brajileiroの中からの
二曲です。
このチクルスを作曲した年に、ヴィラ・ロボスは
再婚しています。
そしてその、再婚相手の妻に向けて
この曲集を捧げています。

今回演奏する、「セレナード弾きの印象」は
嬰ハ短調、A-B-A-C-A形式。
哀愁を帯びた、ギター弾きのセレナーデを
想像させるような節が印象的です。

「奥地の祭り」は文字通り、
奥地にて、祭りにて派手な踊りが
繰り広げられているかのような、
色彩豊かで演奏効果たっぷりの曲。
ハ長調、A-B-C-A-B-D-A-コーダの形式。

ジョージ・ガーシュイン作曲の、
ラプソディー・イン・ブルー。
日本では、近年、のだめカンタービレの
大ヒットで、耳にされた方も
多いのではないかと思います。
ジャズとクラシックの融合したスタイル
シンフォニックジャズというカテゴライズに
なるようです。
元々、オーケストラとピアノソロの為に書かれた作品ですが、
今回演奏するのは、ガーシュイン自身の編曲版になります。
元々、作曲者が作ったライン(スケッチ?)があり
オーケストレーションに精通していなかった
ガーシュインが、ファーデ・グローフェの助けを借りて、
完成したということです。
ダイナミックなリズムと、宣伝や、
映画音楽などにも使われている、
中間部の美しいメロディアスな
部分が対比的であり、古今東西、多くの人の心を魅了し、
つかんで離さず、聴き継がれて来た名曲。
ジャズ的な感性が譜面にしてあり、
それをクラシックのピアニストとして
弾くことのできる楽しさや、醍醐味というのが
大いにあると思います。

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