2015年2月19日木曜日

フェデリコ・モンポウ作曲 「子どもの情景」ほか 演奏者 藤枝有紀子

モンポウ「子どもの情景」
オアナ「解釈法のための練習曲より第1番 自由なカデンツ」
ブレイク「ゼア・ソウルズ・ゴー・ワルツィング・オン」
メシアン「4つのイズムの練習曲より 第1番 火の島 l

~フェデリコ・モンポウ(1893-1987/バルセロナ出身)~
『子どもの情景』街路での叫び/浜辺の遊び1/遊び2/遊び3/庭の乙女たち

20世紀のピアノの詩人とも呼ばれる、モンポウが
19151918年に書いた、初期の代表作の一つ。
『最も影響を受けた作曲家は、フォーレ、ドビュッシー、サティ』
『理想とするのは、何も不足せず、何も余計なものが無い作品』
『目的は、研ぎすまされた内なる耳でも、容易には出会えないような響きを作ること』
『自分は十人以上の聴衆のために曲を書いたことは一度もない』
といった言葉を残したモンポウ。数々の世界的な芸術家たちを輩出してきた文化都市、
20世紀初頭のバルセロナで生まれた、詩情と余韻に満ちた音楽をお楽しみください。

~モーリス・オアナ(1913-1992/カサブランカ出身)~
『解釈法のための練習曲より 第1番 自由なカデンツ』

モロッコ出身のフランス人作曲家さんですが、なかなか興味深いかたです。
父親は英国領ジブラルタル出身のスペイン系ユダヤ人で、母親はスペイン人。
少年時代をモロッコで過ごし、20歳のときに家族とともに南フランスへ移住。
建築学を学ぶが、その後音楽に転向。パリ、バルセロナ、ローマで学ぶ。
第二次世界大戦中は、英国軍兵士として、アフリカ戦線を転戦。
戦後はパリに移り、1976年にフランス国籍を取得。

『解釈法のための練習曲』は1981-1982年に書かれた作品。
12曲。(11番と第12番では、打楽器も加わります。)
ドビュッシーの練習曲の延長線上に書かれていて、オアナはこの練習曲で
さらにピアノにおける共鳴音、テキスチュア、音色を新たに探求しています。
今回演奏する第1番でも、言葉やアーティキュレーション、ペダルの指示が
細かく書き込まれてますが、オアナの求める響きをどこまで表現できるのか ?!
当日をお楽しみに。

~マイケル・ブレイク(1951-/ケープタウン出身)~
『ゼア・ソウルズ・ゴー・ワルツィング・オン』

2004年『アイヴズ』『シェーンベルク』の生誕130年を祝う
プロジェクトのために書かれた作品。それぞれの作曲家から
『3ページのソナタ』よりマーチ(アイヴズ)
『5つのピアノ曲 作品23』よりワルツ(シェーンベルク)
の断片が取り出され、アフリカ風の特徴的なリズムパターンを
交えつつ、マーチとワルツが渾然一体となって迫ってきます。
南アフリカ作曲界の第一人者、ブレイク氏の音楽。どうぞお楽しみに。

~オリヴィエ・メシアン(1908 - 1992/アヴィニョン出身)
『4つのリズムの練習曲より 第1番 火の島 I

20世紀最大の作曲家の一人で、作曲はもちろん、オルガニスト、教育者
としても活躍したメシアン。私が今回演奏するのは、1950年に書かれた
『4つのリズムの練習曲』の第1番。練習曲の第4番『火の島 ll』とともに、
パプアの人々に捧げられています。メシアンによれば、この曲の主題は
『この土地の呪術的な儀式の圧倒的な力』に着想を得て作り上げたそう。
わずか 40小節の短い作品ですが、シンプルなリズムと旋律のパターンが
バスドラムやゴング、鳥の声などを伴いつつ、何度も繰り返されます。

太平洋戦争では激戦地となったパプアニューギニア。数多くの部族が暮らし、
広大な熱帯雨林は、野生動物の宝庫でもあります。そんな豊かな自然が
これからも守られていきますように…。という願いも込めて、メシアンが
2分間で描くパプアの世界を堪能していただければ、幸いです。

藤枝有紀子

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