J.S.バッハ「幻想曲とフーガ ト短調 BWV542」
F・リスト編曲
中3頃だったと思いますが、
ふとした時にバッハのオルガン曲の入ったカセットを買いました。
バッハが好きだった私は(何が弾きたい?と聞かれては
バッハと答えていたことを覚えています)たちまちハマってしまいました。
パイプオルガンの大音響に癒され、風邪を引いて学校を休んだ時も
ベッドの中にウォークマンを持ち込んで聴き、不思議と熱の苦しさから解放されるようでした。
ピアノでも弾けたらいいなと思って、
G-mollの4声のフーガをカセットで繰り返し聴いては
五線譜に音符を綴ってみましたが、聴き取れたのはせいぜい3声の途中まで。
その後は音が増え、残響やらで聴き取れず、、、
残念だけどそれで終わってしまいました。
何十年が経ち、そんなこともすっかり忘れた頃、
リストによるピアノのための編曲版があることを知りました。
リストは手を加えず、原曲に忠実に再現しています。
あらためて聴いて、この幻想曲とフーガ、やはり最高傑作だと思います。
練習していてもけっして飽きが来ません。
当時ハマってしまった自分が再び蘇ったよう。
そんな新鮮な気持ちで当日のコンサートを迎えられればいいなと思っています。
幻想曲は、不協和音などによる痛烈な表現がなされ、
即興性に富んだパッセージが至る所に現れます。
1720年35歳で一人目の妻を失った苦悩の表れともいえます。
バッハは聖ヤコビ教会でのオルガン職のためのオーディションを受けた時、
試験管としていたオランダの有名なオルガン奏者ラインケンの前で
敬意を表しこの曲を演奏しました。
演奏は素晴らしかったものの、献金しなかったことで
このオーディションには落ちてしまったそうですが・・・。
4声で構成されている長大なフーガは、
同じ調性である「小フーガ ト短調」に比べて「大フーガ」と呼ばれています。
バッハのオルガン曲の最高傑作の一つ。どうぞお楽しみください。
ヴァラ―シュタイン西原典恵
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